お月謝のはなし | 京都でリトミックならNeue Musik

お月謝のはなし

今日一人のお母さんから「お月謝、銀行口座引き落としとか、ないんですか?」と聞かれた。
私も何度か考えたことがある。

最近では、何でも口座引き落としが多いが、私の教室では、ずっと前からお月謝袋を月末に生徒さんに渡して、レッスン料をその袋に入れて持ってきてもらうという、昔ながらのやり方をしている。

子供に大金を持たすのは心配だし、お釣りなくレッスン料をご用意いただくのは、確かに面倒をおかけしていると思う。
私だって、引き落としにさせてもらうほうが、いろんな手間が省けてどんなにラクになるだろうと思う。

だけど、しない。

お金の感覚を持って欲しいからだ。

小さな生徒たちは、お月謝を渡す時に、袋の中を確認したり、私の前でわざわざ袋から出して、お金を数えたりする。

そして、「うわー、高っ!」と言ったりする。

そう!ピアノのレッスンは高いのだ‼︎
学校に行くのとは違うのだ‼︎

それでいいと思う。

私にも憶えがある・・・

中学生ぐらいの時、ろくに練習もしてない月もあった。
そんな時でも、お母さんにお月謝袋を渡さないといけない。
なんとなく申し訳ない思いで渡すと、母は押入れの奥から箱を出してきて、何枚かの一万円札を袋に入れて渡してくれるのだ。
付け加えるが、うちは両親共働きだったし、けっしてゆとりのある家庭ではない。
でも、その箱には母が少しずつ集めておいたのだろう、きれいなお札が入っていて、いつもそこから何も言わずただレッスン料を持たせてくれたのだった。

その何万円も入ったお月謝袋を鞄に入れ、自転車でレッスンに向う時の心境は、なんとも情けない、悔しいものだった。

お金は大事。

その価値や感覚をラクということで、失くしたくはないとずっと思っている。

だから、やっぱりお月謝袋制度のままにしようと思う。

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